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幼児教育の重要性は無償化に直結しない [子どもの教育]

今議論になっている幼児教育の無償化。
なぜ幼児教育を無償化しなければならないのか、その根拠はどこから出てきたのが気になって調べてみました。

幼児教育の重要性を示す論拠として注目されたのはジェームズ・ヘックマン教授の『幼児教育の経済学』という本だそうです。
この本では、小学校以降の教育よりも、就学前の教育のほうが教育効果が非常に高く、「投資効率」がよいことが示されています。
特に恵まれない子どもの幼少期の生活を改善することは社会的包容力(社会的に弱い立場にある人々を排除・孤立させるのではなく、共に支え合って生活していこうという考え方)を育成すると同時に、経済効率や労働力の生産性を高めるうえで、単純な所得の再配分よりもはるかに効果的であり、恵まれない子どもたちの幼少期の生活を改善するプログラムを実行するにあたっては「家族の収入に応じてスライド制の負担額を設定する」べきと唱えています。

幼児教育が重要=幼児教育の全世帯への無償化が必要、ではないんですね。

言葉の端だけとらえると、幼稚園で早期教育を実施することがいいと捉えられてしまいそうですが、ヘックマン教授は「文化的感受性を発揮し、社会の多様性を認識しつつ、子育ての質や幼少期の環境を高めることによって成果が導かれる」「家庭訪問を含むプログラムは両親の生活に影響を与え、家庭環境の永続的な変化をもたらし、それが介入が終わった後も子供を助ける。認知能力だけに集中するのではなく、子供の性格や意欲を形成するプログラムが最も効果的」と言っています。
つまり、ひらがなを覚えさせることが大事なのではなく、子育ての環境を支援することが大事なので、そこから導かれる社会政策としては、就学前の子どもたちが周囲の大人の愛情を感じながらのびのびと外遊び、集団遊びを行う家庭で感性や自己肯定感を高めていくことが大事なのだということです。

そう考えると、3歳児から5歳児の幼稚園、保育園にかかるお金をタダにすればいいという問題ではない。
無償化の議論には、お金を払う・受け取る側の大人の事情ばかりで「家庭の収入や環境に関係なくすべての子どもたちが夢をもってイキイキと成長していける」という視点が大きく欠けているように思います。
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