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よかたい先生 水俣から世界を見続けた医師 原田正純 [絵本・子どもの本]

読書感想文コンクールの課題図書になっている「よかたい先生 水俣から世界を見続けた医師 原田正純」という本。
海ちゃんが買ってもらって家に置いていたものを、ふと手にとって読んでみました。

水俣病をはじめとする公害病に、患者の立場で関わり続けた故原田正純先生の言葉を、子どもにもわかりやすく語り言葉のまま綴った本です。
小学4年生くらいから6年生くらいまでを対象にしている感じの本ですが、内容は大人にも是非読んでほしいと思うくらい深いものでした。

わたし自身、水俣病で苦しんだ人たちがたくさんいるということは、教科書で習って知っていることでした。
でも、水銀で汚染された水を飲んだ魚や貝を食べた母親から生まれる子ども達は、生まれながらに「水俣病」という社会から認知されない病を背負って生きていかなくてはならなかったという理不尽な現実、社会の偏見を恐れてその病を隠そうとする家族の苦しみ、どこまで理解していたのかと思うと、恥ずかしくなりました。

患者のいる現場をずっと見てきた原田先生は言います。
「お母さんの子宮は環境そのものなんだ」
自然を汚すことは、人間と未来の命を汚すことになる。
「胎児性水俣病の子たちだけは、何も文明のいいことを受けることなく、生まれてきたときから苦しみと痛みを背負っているんだよ。あの子たちは、この便利なくらしをしているぼくらの犠牲になっているということです。それを忘れないでほしい。」

そして自費で世界各国で起こる公害の現場に立ち会った原田先生は、巨大資本によって自分たちの暮らしをぼろぼろにされるのは、弱者だといいます。
汚染された水を飲むなといっても、それしか飲む水がなかったら飲むしかない。
病気になっている豚を食べるなと言われても、それしか食べるものがなければ食べるしかない。
そこで働くことが、病気を引き起こしているといわれても、そこしか働く場所がなければそこで働くしかない。
「もともと差別のあるところに、公害が起きる、もしくは、起こされていると思った。権利の主張できない人、声の小さい者、教育にもめぐまれず、社会的にも弱い人々は犠牲にしていいと思っているんだ。だから、平気で毒物を流し、彼等の存在を無視して、ひどいことができるんだ。」

生涯、苦しんでいる人たちに寄り添おうとした原田先生の言葉は温かいけどとても重い。
「これからのきみたちには、どうか、心を育ててほしい。思いやりと想像力も。」
「今自分のしていることが何につながっていくのか-それを考える力を持っていてほしい。
自分が持っているペットボトルがどれくらいのエネルギーを使った再利用されるのか。それが本当に必要か、考えてほしい。
つまり、想像力とはそういうこと。」
「一人ひとりが立ち上がらなければいけないことは、どの時代でも変わりません」

海ちゃんは、この本、もう読んだのかな。
何を感じ、何を感想文に書きとめようとしているのか。
とても興味があります。
旅行から帰ってきたら、是非聞いてみたいと思います。





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